《月収55万円!?》バンフの日本語ツアーガイド体験談

バンフ、キャンモアを拠点にカナディアンロッキーの魅力を紹介するツアーガイド。

今回はバンフを拠点にするツアー会社で実際に日本語ツアーガイドとして働いたMegumiさんにインタビュー。

  • ガイドになった理由は?
  • どうやってなるの?
  • 楽しい?
  • 大変なことは?
  • お給料は?

ワーキングホリデーやコープなどで、カナディアンロッキーを舞台にツアーガイドとして活躍してみたい方は必見!

目次

Megumiさんプロフィール

日本では不動産会社の営業職を約6年していました。コロナ期間が自分の人生を見直すきっかけとなり退職。その後、マルタ島へ3ヶ月間(2021年6月〜9月)の語学留学に行きました。そこで、やはり海外生活の楽しさ・英語のもってる力を実感し、海外生活をしたい!海外で働いてみたい!と決心し、カナダのワーキングホリデービザを取得し2022年10月に渡航。バンクーバーで語学学校に通った後、カナディアンロッキー観光の街・バンフに移住しました。

ガイドになった理由は

レイク・オエサにて

もともと観光に携わる仕事がしてみたいと思っていて、バンフ移住後は観光客が多く訪れる温泉施設のカフェで働いていました。

ツアーガイドにも興味があり、バンフのガイド会社をいくつか調べてはいたものの、どこの会社も募集しているツアーガイドはドライバーズ・ガイド(運転しながらのガイド)のみ。

「ペーパードライバーの私には無理だな〜」と諦めていました。

そんな中、シェアハウスのルームメイトがツアーガイド会社で働いているといるということが判明。

しかも新人ガイドを募集中で未経験者OK。車の運転も自信がなければサポートしてもらえるということで、「せっかくカナダに来たんだし!」と、そのまま申し込み。

私が申し込んだ2023年シーズンはコロナ禍からの回復がどれだけ見込まれるのか誰にも分からない状況。

会社からも「仕事が少ないかもしれないし、多くなるかもしれない。正直わからないけど良い?」という条件で採用してもらいました。

ガイドデビューまでの流れ

お客様とのランチ *画像加工あり

ガイドデビューするまでの準備、研修期間は1ヶ月程度でした。

ガイドとして働く期間は5月〜10月上旬の約半年間。それまでに「研修」や「カナダの運転免許取得」を終える必要があります。

遅れれば遅れるほど働ける期間が短くなるため、「研修」と「運転免許」は別々ではなく同時進行で進めて行くことなります。

研修を受ける(座学、実際のツアーに乗車)

研修には知識編(座学)と実戦編(ツアー参加)があります。

カナディアンロッキーに関する知識を覚えるために「膨大なテキストを渡されるのかな?」と思っていましたが、そこは21世紀。テキストはしっかりとデジタル化されていました。

そうした意味ではスマホだけだと進めづらいかもしれません。パソコンがあればベストですが、タブレットくらいの画面サイズは欲しいです。

上司と新人ガイドの同期で数回集まってポイントとなる知識を勉強し、その後は各自で知識の習得を進めていきます。

カナダの建国に関する知識からバンフについて・氷河について・山についてなど、覚えることはたくさんあります。

最初は単語を覚えるのでも精一杯でしたが、使える知識として覚えないといけないため、点と点で覚えるのではなく線で覚えるように、実際に声に出しながら〝一人プレツアー〟なるものを最初は家で行っていました。

また、勉強の合間をぬって先輩ガイドがお客様を乗せて案内していく実際のガイドツアーに参加します。

カナディアンロッキーのツアーの種類は大きく「美しい氷河湖を巡るツアー」「コロンビア大氷原を目指すツアー」の2つです。

まずはこの主力2ツアーの内容と道順などを覚えることが最優先となりました。各ツアーには3回ずつは乗ったかと思います。

初めて参加した時は「こんなに喋らないといけないの?絶対無理だ。」と感じたことをよく覚えています。

先輩ガイドには「研修用にかなり喋ってるから、実際はこの半分くらいで良いよ。」と言われましたが、「それでも多いわ!」というくらいの衝撃を受けました。

ツアーの同乗では、山や湖、動物の名前にそれらにまつわる話、ツアーの道順など、ありとあらゆることを覚えなくてはなりません。

また、緊急時(雨が降った時、通行止めなど)の対応についてもシュミレーションしておかなければなりません。カナディアンロッキーではスマホの電波が繋がりません。何かあった時は私が自分でどうにかしなければならないのです。

幸い研修中には先輩のガイドがいます。気になったことはその都度質問してメモするようにしていました。

運転免許試験

ツアーで使用する車両は15人乗りのバンで、自家用ではなく商業用として登録された車です。

そのためツアー車両はカナダ国内の普通運転免許(クラス5)では運転できず、商業用車両の運転免許(クラス4)を取得しなければ運転することができません。

また、日本の運転免許からカナダのものに切り替えるには、日本の普通運転免許証を3年以上保持している必要があるため要注意です。

《クラス5》書類を揃えるだけ

まず日本の普通運転免許をカナダの運転免許(クラス5)への切り替えです

切り替えには「日本の運転免許」「運転免許の翻訳」「切り替え費用」が必要で、手続きはバンフ内のレジストリ(役所の様な場所)で行います。

「運転免許の翻訳」は大使館や領事館の翻訳のみが公式な翻訳として認められます。翻訳には時間がかかり、しかも事務所まで取りに行かなくてはいけません。なるべく早めに大使館や領事館に翻訳の依頼をしておきましょう。(電話で問い合わせたら丁寧に対応してくれるので安心です)

クラス5の運転免許証がその場で仮発行されますが、その際に日本の運転免許は没収されます。日本の運転免許はその後(約1年後)、最寄りの日本大使館や領事館へ送付されるそうです。長期で滞在される方は半年後くらいに問い合わせてみると良いかと思います。日本に帰国した際には日本の警察で再発行することができるそうです。

《クラス4》筆記試験(英語)&健康診断

なんと2023年からクラス4取得の試験が筆記試験のみとなりました。

2022年までは実技試験(路上テスト)、筆記試験の両方があり、路上試験に何度も落ちてガイドになれなかった人もいたそうです。

筆記試験対策は、公式のテキストや会社が独自にまとめた教材をもとに勉強を進めていきます。内容は交通ルールに関わるものがほとんどで、日本との共通点も多いため比較的覚えやすかったです。ただし、日本との違いももちろんあるので注意が必要です。

(一例)
・停車しているスクールバスは、何があっても追い抜いてはいけない
・踏切では一時停止しなくて良い
・赤信号でも右折はOK

先輩ガイドからは「路上テストがなくなったから楽勝じゃん!」と言われ、ほっとしていたのですが。

いざレジストリのパソコンで筆記試験を受けてみると、、、激ムズ!

どうやら路上テストがなくなったので2023年から筆記試験の内容が変わったようです。2024年以降に試験を受けるみなさんは十分に対策した上で臨んでください。

私は6回目でようやく合格できました。

無事に試験に合格すると、レジストリのスタッフから「そのへんのクリニックでメディカルチェック(健康診断)してきて」と言われます。

診断書を持ってもう一度レジストリに行けば、無事にクラス4免許を取得できます。

社内テスト(路上テスト、知識テスト)

運転免許をとったからといって私はペーパードライバー。運転には全く自信がありませんでした。

会社も「さすがに路上試験なしで運転させるのは…」ということで、新しく社内で運転練習&路上試験を実施しました。

練習の時間は概ね30時間程度。実際にツアーで使用するバンを運転し、助手席に上司に乗ってもらい運転のポイントを教えてもらいます。

また、知識についても簡単な確認試験とガイディングがありました。始めにもらった教材の中から10問程度が出題され、8割正解でOK。

その後に、「レイクルイーズについて紹介して」といった実際のガイディングについてもチェックがあります。

私の会社は「知識(情報)やガイディングテクニックは教えるが、話の構成や話し方はガイドに任せる」スタイルでした。そのためいわゆる原稿の様なものはありません。ガイド自身がその場の空気(雰囲気)を読み取りながら適切な情報、話し方で対応していかなければならないのです。

そんな試験を無事にクリアすればいよいよ独り立ち、ついにデビューとなります!

ガイドの1日

モレーンレイクでお客様と*画像加工あり

私の会社はGoogleドライブを使用し、クラウド上でスケジュールが管理されていました。Googleアカウントを作っておく必要があります。

スタッフ同士のやり取りにSlackというアプリを使用したり、SNS用の写真をツアー中に撮影しないといけないので、カナダで使用できるスマホは必須です。

ツアーによって出発時間は異なりますが、基本的な流れはこんな感じです。

当日の朝までに

  • ・自分が行く予定のツアー内容を確認(ツアーの種類、使用する車両、人数、宿泊先)
  • ・当日ピックアップしていく順番を自分で考える
  • ・休みが欲しい時は早めに言っておく

ツアーに出発

  1. 出発前に車両の点検
  2. 運転記録アプリ(ログブック)に勤務内容を随時記録
  3. ホテルでお客様をピックアップ
  4. ガイドしながらツアー
  5. お客様をホテルでドロップオフ
  6. ツアー料金を集金
  7. ガソリンを給油
  8. 車両の清掃

中でも重要なのは出発前の車両の点検です。

カナダ旅行は一生に一度のお客様が多く、実際に大金を支払ってカナダに来ています。ツアーの途中で車両が止まったらシャレになりません。

ツアーでは毎日200km前後の距離を運転するため、出発前後の点検は入念に行っていました。

また、運転記録も忘れずにつける必要があります。私の時はスマホアプリと車載のタブレット端末を併用して記録していました。

ドライバーの長時間労働を避けるための取り組みだそうで、たまに観光地の駐車場でカナダ行政機関の抜き打ちチェックがあります。記録をつけていないとドライバー個人に対して罰金が請求されます。金額も$400以上もあり得るので絶対に忘れてはいけません。

1日の労働時間

主力となる人気の日帰りツアーは、前後の準備&ツアーで概ね11時間前後が勤務時間となります。

ただし、ツアーによって出発時間が異なります。07:00出発と早かったり、09:30出発とゆっくりだったり。出発が早ければその分早い時間に終わり、出発が遅ければ遅い時間に仕事が終わることになります。

ただし、たまに日帰りツアー後に「サファリツアー」や「カルガリー空港への送迎」といった追加の仕事が連続で入ることがありました。給料はその分増えますが、正直きついなと感じる日もありました。

給料は良い

同期のガイドたちと

想像よりかなり良かったです。

正直ここまでもらえるとは思っていませんでした。

私はカフェの仕事も並行していたので、週に4日前後をガイドとして働くことになりました。

時給ではなくツアー1本いくら

給料は時給ではなく「ツアー1本いくら」といった体系でした。ツアーの時間や内容によって設定されている給料が変わるのですが、時給に換算するとおおむね$18です。

レストランやカフェなどと比べても悪くはない水準かと思います。

これは後から知ったのですが、「ガイドど業を自信を持って自慢できる職業にしたい」という思いで、私の会社はガイドの処遇改善にも取り組んでいるとのことでした。

早く終わっても遅く終わっても給料は変わりませんが、交通事故などで時間がかかった際や、深夜での対応(空港への送迎)時には追加で給料が支払われました。

チップ収入がでかい

ガイドの腕が試されるところです。

日本人はチップの文化がありませんが、ここ最近はそうした文化に理解を示してくれるお客様も多くなったそうです。

ガイド体験を紹介したWEB記事では「チップがもらえるのは稀」などと書いてありましたが、私の感覚では「稀どころか想像以上にくれる人が多い印象」でした。

多い日には1日のチップが$100を超える日もありました。

チップがもらえると認められた気がして単純に嬉しかったです。

もちろんお支払いされないケースもありましたが、その時は「次頑張るぞ!」とモチベーションを高めるきっかけにもなりました。

ちなみにチップはツアー後に現金で渡してくれる場合と、会社を通じて後日分配されるパターンがありました。

気になる実際の月収は?

給与とチップを合わせた最高月収は、なんと$4,900(約55万円)でした。

週4日働いた時の税引前、いわゆる額面上の総収入です。これからいっぱい税金が引かれますが、思ったよりもかなりいただけたと思っています。

新人ガイドの中には週5,6日働いていた子もいたので、彼らは$5,000を超えていたかと思います。

ワーキングホリデーでカナダに来てこれだけ稼ぐことができる職業はあまりないかと思います。もちろんその分労働時間は長いですが、金額だけ見ると魅力的ではないでしょうか。

給料の支給は月に1度、社長から小切手が渡されます。カナダではどの銀行もオンラインバンキングが発達しているので、スマホのアプリでその小切手を読み込めば翌日には口座に振りこまれます。

シーズンを終えての感想

同期ガイドと行ったレイク・オハラのハイキング

「ガイドの仕事」「給与面」ともに非常に満足感のある仕事だったと思います。

お客様が絶景を見て楽しんでくれている姿を見れただけでも嬉しいですが、普通は一生に一回しか行けないレイクルイーズやモレーンレイクに毎日のように行くことができました。この仕事でないと経験できなかったことなのでとても満足しています。

また、私自身に興味を持ってくれるお客様が多く驚きました。これまで自分のことを話す機会はあまりなかったのですが、なぜバンフにいてなぜガイドをやっているのかなど、自分の人生を見直すきっかけになりました。

ゲストの方々との関わりもとても思い出に残っています。「一緒に写真撮りましょう!」「こんなに知識があってすごいですね!」「ガイドがMegumiさんでよかったです!」「この旅の思い出話をする時に、必ずMegumiさんを思い出して話すと思います」など、様々な嬉しいことを言っていただけました。

自分が好きな場所で、好きな仕事をして、こんなにたくさんのありがたい言葉をいただけたのは、今思ってもすごく幸せな時間だったなと思います。

本当にゼロからのスタートだったため「もう少し幅広い知識を持っていたらな」と、少し悔しい思いをしたこともあります。もし、またツアーガイドの仕事ができるとしたら知識の量をもっと増やし、ゲストにとって一生の思い出を最大限作り出せるようなガイドになれたらなと思います。

大変だったこと

と、ここまで良いことばかりを言ってきましたきましたが、大変だったこともいくつかあります。

ツアーガイドに限らずどんな仕事にも大変な部分はあります。ぜひ知っておいて欲しいほで紹介します。

想像以上に気力と体力勝負

人の命を預かる仕事なので、常に気を張っている状態が続くと思います。

また、連続勤務になることも多く、1日に運転する距離も日本の比較にならないほど長いです。

体力面でキツくならないようシフトに関しては配慮していただきましたが、気を使う部分に関しては仕事柄どうしようもないかと思います。

雨の日の対応

当然いつも晴れの日ではありません。

天候が悪く景色が見えない時もあり、見えないものを紹介するわけにもいきません。

その場をどう盛り上げるかなど、コミュニケーション力が勝負なところもあると感じました。

ただ、それがガイドがいる存在意義でもあるので、「大変だった」というよりも「難しかった」という感じです。

向いている人、向いてない人

レイク・オハラ

ツアーガイドを目指すうえで、やはり「向き、不向き」はあるように思います。

これが絶対ではないですが、あくまで私が思っていることとして参考にしてください。

向いている人

・責任感がある人
・就業時間が不安定でも対応できる人(それなりの体力は必要)
・臨機応変に対応できる人
・ルーティーンが苦手ではない人
・コミュニケーション力がある人

向いてない人

向いていない人は、上記の逆になると思います。

特に、責任感は一番大事だと感じます。

ワーキングホリデーで「仕事はバイト感覚で」と思っている人は辞めたほうが良いです。

ロッキーに旅行に来るお客様は最低でも1人あたり20万円以上のお金を使っていますし、ツアーに対してかなりの期待をされています。

「今日のツアーは最低だった」では済まされないと思います。

また、一緒に働くガイド仲間は高い技術を持ったプロフェッショナルたちです。プライドを持って働いている同僚に対してもリスペクトの気持ちを持って働く姿勢が必要です。

最後に一言

ツアーガイドの仕事はすごく貴重な時間を過ごせたと感じています。

一生に一度は行きたいと多くの人が思っている場所に何度でも行くことができる。

そしてその素晴らしさを伝えられる仕事はとても素敵だと思います。

もし、ツアーガイドに挑戦してみたい友人や知人がいれば、ぜひ勧めたいです。

バンフのステーキハウスで同僚と
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